2ヶ月ほど前に受験し、このブログでもレポート記事を書いた「ITパスポート」。
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この「ITパスポート」と「FP(ファイナンシャル・プランニング)技能士」は両方とも国家資格であり、比較的取得しやすい資格として有名です。
どちらも、いつか取ろうと思っていた資格だったのですが、いい機会なので一気に2つとも受験しました。
今回受験したFP技能士3級の試験実施日は2018年5月27(日)。
つい数日前のことです。
自己採点をしたところ、マークミス等のトラブルが無ければ合格しているようなので、記憶が鮮明な内にFP技能士の試験について記事を書いておきます。
FP試験の概要や具体的な勉強方法、当日の試験会場の様子など、このブログだけで済むくらいの情報を書くつもりですので是非参考にしてみてください。
「ITパスポート編」と同様記事を数本に分ける予定です。
必要なところだけ読んでいただければ良いかと思います。
- 出題範囲は浅く広い
- 独学で十分合格できる
- 誰でも簡単に合格する!はウソ
- ちゃんと勉強すればちゃんと合格する
- こだわりがないなら「金財(きんざい)」よりFP協会の方がおすすめ
この記事のコンテンツ
FP(ファイナンシャル・プランニング)技能士ってどんな試験?
ファイナンシャル・プランナーは、顧客から与えられた情報(収入、支出、資産、家族、相続など)を元にライフプランニングや資産設計に関するアドバイスを行う言わば「お金のプロフェッショナル」です。
ファイナンシャルプランナーが扱う分野は主に以下の6つに区分され、FP(ファイナンシャル・プランニング)技能検定では、この6分野から様々な問題が出題されます。
- ライフプランニングと資金計画
- 金融資産運用
- タックスプランニング
- リスク管理
- 不動産
- 相続・事業承継
1.ライフプランニングと資金計画
FPと倫理、ライフプランニングの手法、ライフプラン策定上の資金計画、社会保険(雇用保険、労災保険、健康保険、介護保険など)、公的年金の全体像、公的年金の給付、企業年金等、年金と税金、カード(クレジットカード、カードローンなど)
2.リスクマネジメント
保険の基本、生命保険(定期保険・終身保険・養老保険など)、損害保険(火災保険・地震保険・自動車賠償責任保険など)、第三分野の保険
3.金融資産運用
金融・経済の基本、セーフティネットと関連法規、貯蓄型金融商品、債権、株式、投資信託、外貨建て金融商品、金融商品と税金、ポートフォリオとデリバティブ取引
4.タックス・プランニング
所得税の基本、各所得の計算、課税標準の計算、所得控除、税額の計算と税額控除、所得税の申告と納付、個人住民税・個人事業税
5.不動産
不動産の基本、不動産の取引、不動産に関する法令、不動産の税金、不動産の有効活用
6.相続・事業承継
相続の基本、相続税、贈与税、財産の評価
主にこういった業務を行う人をファイナンシャル・プランナーと呼び、ファイナンシャル・プランニング技能士については国家資格として試験制度が設けられています。
つまり、ややこしいですが「ファイナンシャル・プランナー」と「ファイナンシャル・プランニング技能士」は別物であるということです。
ファイナンシャルプランナーを名乗るのに特段の資格は必要ありませんが、ファイナンシャル・プランニング技能士を名乗る場合は国家試験であるファイナンシャル・プランニング技能検定に合格する必要があります。
「技能士」についての詳細は以下の通りです。
技能検定とは、働くうえで身につける、または必要とされる技能の習得レベルを評価する国家検定制度で、機械加工、建築大工やファイナンシャル・プランニングなど全部で128職種の試験があります。試験に合格すると合格証書が交付され、「技能士」と名乗ることができます。
同じ資格なのに2つある!金財(きんざい)とFP協会ってどういうこと?
- FP技能士の試験実施主体は「金財(きんざい)」と「FP協会」の2つ存在する
- 試験の難易度は同レベル
- 資格としての価値は同じ(どっちで合格しても同じFP技能士)
- 学科の試験範囲も同じであるが、実技の試験範囲が若干違う
- 合格率はFP協会の方が高いが、カラクリがある
FP技能士試験では、検定試験を実施している団体が2つあり、1つは「日本FP協会」で、もう1つは「金融財政事情研究会(きんざい)」です。実施主体が2つあるということは、申込先も2つあるということ。
初見の方は、混乱する部分もあるかと思いますが、深く考える必要はありません。
結局はどちらで合格しても同じ「FP技能士」です。
ちなみに、FP技能士2・3級の上位資格としてFP技能士1級、CFP、AFPなどがあります。
CFP、AFPは日本FP協会のみで実施されていますが、金財(きんざい)で取得したFP技能士も受験資格として同様に扱われますので、どちらが有利・不利ということはありません。
ただし、以下の通り合格率として数字上の違いはあります。
金財(きんざい)とFP協会の合格率について
(一社)金融財政事情研究会(きんざい) | 日本FP協会 | ||||
学科 | 実技(個人資産・相談業務) | 実技(保険顧客・資産相談業務) | 学科 | 実技(資産設計提案業務) | |
2018年1月 | 65.34% | 67.13% | 42.98% | 80.33% | 89.07% |
2017年9月 | 69.95% | 75.83% | 67.05% | 78.47% | 85.37% |
2017年5月 | 55.12% | 59.69% | 40.60% | 71.87% | 86.18% |
2017年1月 | 48.19% | 74.89% | 48.97% | 67.20% | 85.07% |
2016年9月 | 55.08% | 83.18% | 66.99% | 69.21% | 76.81% |
2016年5月 | 54.93% | 61.95% | 42.53% | 76.58% | 84.90% |
2016年1月 | 55.86% | 57.30% | 58.58% | 68.62% | 81.60% |
※(一社)金融財政事情研究会及び日本FP協会ホームページより
FP協会のほうが合格率は高いが…
FP技能士3級は合格率を気にするような試験ではないので、どちらを受けるかは直感で決めれば良いです。
合格率だけを見るとFP協会のほうが簡単に合格できるように見えますよね。
ここまで合格率に違いが出るのは何故でしょうか。
それには、受験者の質が関係していると言われています。
発表されているデータを見ると金財(きんざい)の方が受験者数は多いのですが、中には金融機関などで強制的に受けさせられている受験者も多く、FP協会の方は自主的に受けている受験者が多いという定説があるのです。
実際にそういった事実を証明するデータがあるわけではないのでなんとも言えませんが、難易度的に目に見える違いが無い以上、実際にそういった側面はあるのだと思います。
要するに、どっちを受けようが大勢に影響はないということです。
試験を受けるにあたって、両団体の過去問を解いてみたのですが、難易度の違いを感じることはできませんでしたし、そもそも3級程度の段階であれば難易度を気にする必要はゼロ。
「ちゃんと対策をすればちゃんと合格する」という単純なお話です。
この時点で血眼になって合格率の違いを分析するようであれば、一度受験を考え直したほうが良いというレベルです。
兎にも角にも、どちらで受験するかをさっさと決めて、とっとと受験勉強に取り掛かったほうが建設的でしょう。
- 試験日
- 受験にかかる費用
- 資格としての価値
- 学科の出題範囲・出題形式
- 全体の難易度(合格率の違いほどの差はないように感じました)
- 申し込み方法(それぞれの団体で申し込み)
- 試験会場
- 実技の出題範囲・出題形式
- 合格率
- 合格証書の書式(デザイン)
以上の要素を総合的に判断して、私はFP協会の方を受験しました。
最も重視したのは、FP協会が実施する実技試験の範囲が6分野全てを網羅しているという点です。
今後のことを考えれば、すべての分野で試験勉強をしておいた方が良いと判断しました。
また、過去問は金財(きんざい)とFP協会の両方共解きましたが、正直なところ難易度の違いを感じ取ることはできませんでした。
ただし、数字(合格率)で現れている以上、多少なりともFP協会のほうが解きやすい問題(簡単という意味ではなく)が出題される傾向にあるのかもしれません。
いずれにしても、特にこだわりがないのであれば、私はFP協会での受験をおすすめします。
試験内容・方式について
学科試験(FP技能士3級)
金財(きんざい)・FP協会 | |
出題数 | 60問 |
試験時間 | 120分 |
合格基準 | 60%(36点以上) |
備考 | 60分経過後退出OK(終了10分前は不可) |
実技試験
学科試験においては金財(きんざい)とFP協会で違いはありませんでしたが、実技試験では内容が異なってきます。
大きな違いは2点
- 出題範囲(FP協会の方が広く、金財の方は2種類のうち好きな方を選択できる)
- 出題数が異なる(FP協会は20問、金財は15問)
※但し、合格基準は同じ
FP協会 | 実技(資産設計提案業務) |
出題形式 | 筆記(マークシート形式) |
出題数 | 20問 |
試験時間 | 60分 |
合格基準 | 100点満点で60点以上(60%) |
※日本FP協会ホームページより
金財(きんざい) | 実技(個人資産・相談業務) | 実技(保険顧客・資産相談業務) |
出題形式 | 筆記(マークシート形式) | 筆記(マークシート形式) |
出題数 | 事例数5題(15問) | 事例数5題(15問) |
試験時間 | 60分 | 60分 |
合格基準 | 50点満点で30点以上(60%) | 50点満点で30点以上(60%) |
※(一社)金融財政事情研究会ホームページより
※金財(きんざい)のFP技能士試験の実技では「個人資産相談業務」か「保険顧客資産相談業務」のどちらかを選択して受験する。
どんな人が受験するの?資格取得のメリットは?
学生からサラリーマン、主婦まで受験者層は厚い
FP技能士は職種や業種に関わらず多くの人が受験しています。
前述の通り、ファイナンシャルプランニングでは人生設計に関わる知識が必要となるため、その知識が問われるFP技能士は汎用性の高い資格であると言えます。
社会人や学生、主婦など誰であっても持っていて損はないでしょう(そもそも持っていて損をするような資格が存在するとは思えませんが)。
FP技能士として独占できる業務などは無い
このように高い人気と汎用性を持つFP技能士ですが、実際のところ取得するメリットはあるのでしょうか。
弁護士や税理士、社会保険労務士などは、その資格を有することによって独占できる業務がありますが、FP技能士にそういったものはないのです。
但し、ゼロメリットであるかと言えば当然そんなことはありません。
- 社会人として知っておきたい知識の地盤を固めることができる
- 自分のライフプランニングに活かせる
- 上級の資格を目指すのであれば、色々な可能性がある
FP技能士は資格を取得すること自体が有するメリットよりも、資格試験で習得した知識の方が価値は高いのです。
また、中にはFP技能士3級であっても資格を有していれば「この人は最低限の知識は持っているんだな…」と評価してくれる人もいるでしょう。
FP1級やCFP、AFPなど上級の資格を取得できれば、キャリアの幅を更に広げることも可能です。
難易度はどれくらい?誰でも合格できる?
本当に色々なところでこういった質問をよく目にします。
ここで答えを示しておきますので、読んだ方は今後調べる必要はありません。
というよりも時間の無駄なので調べないでください。
その時間を試験勉強に当てたほうが有意義です。
- FP技能士3級のウソ・ホント
- 誰でも合格できるのはホント
- 但し、誰でも勉強せず簡単に合格できるというのはウソ
お気づきだと思いますが、これはFP技能士の試験に限らず全ての資格試験に共通して言えることだと思います。
欠格事項に当てはまる場合や、受験資格が無いなどの特殊事情を除けば、基本的に資格試験は広く一般に開かれた試験です。
だから、誰でも合格できるというのは間違いではありません。
ですが、「誰でも」という言葉に「簡単に」「勉強せずに」といった謳い文句が付いている場合は疑ってください。
もちろん、中にはそういった方もいるでしょうが、それはとても「一般的」とは言えません。
合格に必要な勉強時間
資格試験にはおなじみの「何時間勉強すれば合格できるか?」問題。
おなじみの解答をさせていただけば
正直に申し上げて、何時間勉強すればいいかなどということは調べるだけ無駄ではあるのですが、一応目安を書いておきます。
少し幅がありますでしょうか。
では、もう少し詳細に…
あくまで目安なので参考程度にしてください。
前提知識の判定 | 必要勉強時間 | |
前提知識が結構ある | 初見での過去問正解率80%前後 | 10時間程度 |
前提知識がまあまあ | 初見での過去問正解率50~60% | 20時間程度 |
普通の社会人 | 特に無し | 30時間程度 |
普通の学生 | 特に無し | 50時間程度 |
まずは過去問を解いてください。
過去問を1回分解けば、自分の実力が大体分かります。
1時間だけで構わないので、とにかく過去問にチャレンジしてください。
自分が何を持っていて何を持っていないのかが分からなければ、時間を無駄に使うことになるかも知れません。
ノー勉(勉強しない)で合格できるかどうかを手っ取り早く知る方法
「そうは言っても難易度が気になる」「とにかく勉強せずに合格できるかどうかが知りたい」
そういった方のために、それを見極める方法を1つお伝えします。
やはり大事なのは過去問です。
試験勉強をせずにまずは過去問を試験と同じような環境で解いてみる。
ノー勉で合格できるかどうかはこれだけで大体わかります。
今の時代、過去問のデータは試験実施団体のホームページを見れば大体掲載されています。
その過去問を使って、解いてみてください。
1回だと、正確性に欠けるので、できれば3回分は解きましょう。
あくまでも目安ですが、3回とも8~9割を超える正解率であれば、ノー勉で合格できる可能性はかなり高いと思います。
これは試験の形態や合格基準によっても異なるので、もちろん確実なことは言えません。
ただ、試験勉強が必要かどうかの目安にはなり得るでしょう。
微妙な結果だったなら無理やりノー勉でいくのではなく、おとなしく勉強を始めてください。
結局それが近道です。
どちらか一方で構いません。資格試験対策として効果抜群の内容が書いてあります。
FP技能士3級合格にかかるコスト
FP技能士3級の合格までに必要な費用は
受験手数料(6,000円)+参考書代(2冊合計約3,400円)=約9,400円
受験手数料
試験の種類 | 受験手数料 | 試験の種類 | 受験手数料 | ||
3級 | 学科と実技 | 6,000円 | 2級 | 学科と実技 | 6,000円 |
学科 | 3,000円 | 学科 | 4,200円 | ||
実技 | 3,000円 | 実技 | 4,500円 |
FP技能士3級はオススメできる資格
個人的にですが、FP技能士3級は広く一般的にオススメできる資格だと思います。
特に、就職を控えた学生や、社会人1年目などの新米ビジネスマンにはかなりオススメです。
- 社会保険って何?
- 定期保険?終身保険?養老保険?
- 相続の仕組みって…?
という方には是非挑戦していただきたい内容の資格になっています。
但し、テキストや過去問を見て「簡単すぎる」「知っていて当然」と感じるような方にはおすすめできません。
先程も申し上げたように、FP技能士3級は資格を取得することよりも資格試験の勉強をすることによって得られるメリットの方が高いです。
すでにFP技能士の知識を網羅している人にとって資格取得(試験勉強を含む)のメリットはかなり小さいでしょう。
皆さんの環境に合わせて、受験するかどうかを判断していただければ幸いです。
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